水星逆行って?2026年はいつ?留って何? ~天文学と占星術から解説~
2026年8月19日

「水星逆行だから気をつけて」——SNSやメルマガなどで、年に何度かこの言葉を見かけますよね。メールが届かない、電車が遅れる、話が食い違う……そんな出来事が重なると「あ、いま水星逆行だっけ」と思う方も増えました。一方で、「そもそも水星が逆行するって何?」「本当に影響があるの?」「いつからいつまで?」と、もやもやしている方も多いはずです。
この記事では、水星逆行を「怖がる・笑い飛ばす」のどちらでもなく、そもそも何が起きている現象なのかという視点から解説します。天文学的には何が起こっているのか、占星術では伝統的にどう読まれてきたのか、そしてARI占星学総合研究所(ARI)がもっとも注意すべきだと考える「留(りゅう)」について説明します。
【要点】2026年の水星逆行(日本時間)
回 | 逆行開始 | 順行復帰 | 星座 |
|---|---|---|---|
1回目 | 2026年2月26日 15:49 | 3月21日 04:34 | 魚座22°→8° |
2回目 | 2026年6月30日 02:37 | 7月24日 07:59 | 蟹座26°→16° |
3回目(次回) | 2026年10月24日 16:14 | 11月14日 00:55 | 蠍座21°→5° |
参考:2027年1回目 | 2027年2月10日 02:37 | 3月3日 21:33 | 魚座6°→水瓶座20° |
目次
- 水星逆行とは?——まず言葉を整理しましょう
- なぜ「逆に動く」ように見えるのか——天文学の話
- 占星術では「逆行」をどう読んできたか
- 留とは、惑星が止まって見える数日間
- 2026年10〜11月の水星逆行——特徴と過ごし方
- 生まれたときの水星が逆行だった人へ
- よくある質問
- まとめ:怖がるより「留」を手帳に
水星逆行とは?——まず言葉を整理しましょう
占星術でいう逆行(Retrograde/リトログレード)とは、地球から見たとき、惑星が星座の並び(黄道)の上をいつもと反対向きに戻っていくように見える現象のことです。水星の逆行は年に3回ほど(年によっては4回)、1回あたり約3週間続きます。2026年は3回で合計67日、つまり1年のおよそ18%は水星が逆行中という計算になります。「特別にまれな期間」というより、季節ごとにめぐってくる、わりと身近な現象です。
水星だけでなく、他の惑星も逆行するのですが、なぜ「水星の」逆行だけがこんなに話題になるのでしょうか。それは、占星術で水星が受け持つ領域が私たちの日常そのものだからです。水星は、ローマ神話の伝令の神メルクリウス(ギリシャ神話のヘルメス)にあたる天体で、言葉・思考・情報・文書・契約・商取引・移動と交通・通信をつかさどります。メール、電車、約束、契約書、スマートフォン——現代生活の大部分は「水星の管轄」なのです。
逆行という現象そのものの解説(金星や火星、外惑星の逆行を含む)は、基礎知識の「逆行とは|順行との違いと水星逆行の影響」にまとめています。この記事ではそのうち水星に絞って深掘りします。
なぜ「逆に動く」ように見えるのか——天文学の話
内側の軌道を走る水星が、地球を追い越すとき
まず大前提として、水星が実際に逆向きに動くことはありません。逆行は、地球から見たときの「見かけ」の動きです。
水星は太陽にいちばん近い惑星で、太陽のまわりをおよそ88日で一周します。地球(365日)よりずっと速く、内側の軌道を回っています。内側の速いランナーが外側の遅いランナーを追い越すとき——追い越される側から見ると、追い越していく相手は一瞬「後ろに下がる」ように見えますよね。高速道路で追い抜かれるときの感覚と同じです。水星が地球を追い越す局面、つまり水星が地球と太陽のあいだに入る「内合(ないごう)」の前後で、地球から見た水星は黄道上を逆戻りするように見えます。
地球から見て水星が同じ位置関係に戻ってくる周期(会合周期)は約116日。1年を116日で割るとおよそ3.1回——だから水星逆行は「年に約3回」なのです。
宵の空から明けの空へ——逆行は「水星の引っ越し」の時期
水星逆行の期間には、空の上でもうひとつ分かりやすい変化が起きています。水星は太陽から大きく離れないため、日没後の西の低空(宵の水星)か、日の出前の東の低空(明けの水星)でしか見えません。そして逆行の期間は、ちょうど水星が宵の空から明けの空へ引っ越すタイミングにあたります。
2026年10〜11月の逆行を、天文暦で追ってみましょう(日本時間)。
日付 | 出来事 | 空でのようす |
|---|---|---|
10月12日 | 東方最大離角(太陽の東側に約25°) | 夕方の西の低空。ただし秋の宵は高度が低く見にくい |
10月24日 16:14 | 留(逆行開始)・蠍座21° | 太陽に近づき、宵の空から姿を消していく |
11月4日 | 内合(地球から見て太陽と重なる・蠍座12°) | 見えない |
11月14日 00:55 | 留(順行復帰)・蠍座5° | 明け方の東の空に現れはじめる |
11月21日 | 西方最大離角(太陽の西側に約19.5°) | 明け方の東の低空でもっとも見やすい(秋の明け方は水星観望の好機) |
逆行のちょうど真ん中あたりで、水星は太陽と重なります(内合)。「一度太陽に飲み込まれて、反対側の空に生まれ変わって出てくる」——古代の人々が惑星の逆行と内合に特別な意味を見たのは、こうした空の変化を実際に目で追っていたからでしょう。
なお、11月下旬は日本から明けの水星を探す絶好のチャンスです。日の出の40〜50分前、東の低い空に注目してみてください。
逆行は、古代の天文学者を最も悩ませた問題だった
惑星が時どき逆戻りする——この現象は、古代ギリシャの天文学者にとって最大の難問でした。2世紀のプトレマイオスは『アルマゲスト』で、惑星は大きな円(従円)の上をまわる小さな円(周転円)に乗って動く、という精巧な仕組みを考案しましたが、あの複雑な周転円の理論は、まさに逆行を説明するために生まれたものです。1543年、コペルニクスが「太陽を中心に地球も動いている」と考えたとき、逆行は特別な仕掛けなしに、地球と惑星の追い越しの結果として自然に説明できるようになりました。
つまり逆行は、人類が地動説にたどり着くきっかけになった現象でもあるのです。そして占星術は、あくまで地球から見た空を読む体系(ジオセントリック)ですから、この「見かけの逆戻り」こそが読み解きの対象になります。
占星術では「逆行」をどう読んできたか
古典占星術において、惑星の逆行はその惑星の状態を弱める条件(ディビリティ)のひとつと考えられてきました。惑星が「後ろへ下がる」ことから、戻る・引き返す・撤回する・遅れる・やり直すといった象意が結びついています。質問に対して星の配置から答えを出すホラリー占星術では、逆行している惑星は「話が元に戻る」「一度出た結論がひっくり返る」「なくした物が戻ってくる」などの徴(しるし)として読まれます。
水星がその状態になれば、水星の管轄する領域——言葉、情報、文書、移動——で「戻る・遅れる・行き違う」が起こりやすい、と読むのが伝統的な解釈です。「水星逆行中は通信トラブルや交通の乱れ、契約の見落としに注意」という現代のフレーズは、この古い象意の延長線上にあります。
留とは、惑星が止まって見える数日間
天体が順行から逆行へ、あるいは逆行から順行へ向きを変えるとき、その直前直後は見かけの動きがほとんど止まります。これを留(りゅう)/ステーションと呼びます。
数字で見ると分かりやすいでしょう。順行中の水星はふだん1日に1.5°前後、黄道上を進みます。ところが2026年10月の逆行では、10月22日ごろから26日ごろまで、そして11月12日ごろから15日ごろまで、1日の動きが0.25°未満——ほとんど止まって見える状態が、それぞれ3〜4日続きます。
止まって見えるぶん、象意が濃く出る
占星術では、留にある惑星は同じ度数に何日も留まるため、その惑星の象意が集中的に、強く現れると考えられてきました。古典占星術でも、逆行に転じる第一の留と順行に戻る第二の留は、それぞれ特別な意味を持つ局面として区別されています。
ARIでは、この「留の前後」に通信・交通・契約の問題が集中しやすいと考えています。逆に言えば、3週間ずっと身構えているより、2つの窓(各数日)を手帳に印しておくほうが現実的で、実際に役に立ちます。
2026年秋の「留」 | 日時(JST) | 度数 | 注意の目安 |
|---|---|---|---|
第一の留(逆行開始) | 10月24日 16:13 | 蠍座21.0° | 10月22日〜26日ごろ |
第二の留(順行復帰) | 11月14日 00:54 | 蠍座5.0° | 11月12日〜15日ごろ |
2026年10〜11月の水星逆行——特徴と過ごし方
蠍座の中で起こる逆行
今回の逆行は蠍座21°で始まり、蠍座5°まで戻って順行に転じます。天秤座には戻りません。蠍座は、深い信頼関係、共有する財産(保険・相続・ローン・共同の金銭)、秘密や調査といった「他者と深く結びつく領域」をあらわす星座です。込み入った金銭の取り決めや、腹を割った重要な話し合いは、この時期、特に留の前後を外して予定すると安心です。
起こりやすいこと(=水星の管轄)
- 通信:メールの誤送信・添付忘れ・宛先違い、メッセージの未読/既読のすれ違い、機器やネットワークの不調
- 交通:交通機関の遅延、乗り換えミス、予約の日付・時刻の間違い、忘れ物
- コミュニケーション:言った・言わないの食い違い、伝言の抜け、誤解による手戻り
- 契約・文書:契約書の読み落とし、条件の解釈違い、書類の不備、申込みのやり直し
ARI流・水星逆行の過ごし方
- 留の前後に、大事な予定を置かない——重要な契約の締結、大きな買い物の決定、大切な連絡や発表、旅立ちの日は、可能なら10月22〜26日と11月12〜15日を外す。動かせるものは順行に戻ってから(11月中旬以降)へ。
- 動かせない予定は「確認を一段厚く」——契約書は読み返す、口頭の約束は文字に残す、送信前に宛先と添付をもう一度、控えを取る。
- 移動は余裕をもって——乗り換え・集合時刻・予約内容の再確認。
- 「再」のつく作業は普通に進めてよい——見直し、修正、再確認、復習、連絡の取り直し。逆行の象意「戻る・やり直す」は、こうした作業と相性が悪くありません。
- それ以外は、いつも通りに——水星逆行は「何もしてはいけない3週間」ではありません。管轄外のことまで逆行のせいにしない。
そして、この逆行が2026年最後の水星逆行です。次回は2027年2月10日〜3月3日(魚座6°→水瓶座20°)。
生まれたときの水星が逆行だった人へ
出生図(ホロスコープ)で水星が逆行している人は、およそ5人に1人います。ネットには「話すのが苦手」「頭の回転が遅い」といった記述も見かけますが、ARIでは出生図の水星逆行に悪い意味はないと考えています。生まれた日にたまたま水星が逆行していた——それは、あなたが生まれた季節にたまたま雨が降っていた、というのと同じくらい、あなたの価値とは関係のないことです。
ご自分の出生図で水星が逆行しているかどうかは、ARIのホロスコープ作成ツール「スターナビゲーター(スタナビ)」で確認できます。無料で出生図をすぐに作ることができ、逆行中の天体には逆行マークが表示されます。
→ 無料でホロスコープを作る(スターナビゲーター):https://starnavi.arijp.com/
出生図を作ったら、水星(☿)の記号の脇に逆行マークがついているかを見るだけです。ついていたら、あなたは「5人に1人」の水星逆行生まれ。それだけのことで、心配は要りません。
よくある質問
Q. 2026年の水星逆行はいつからいつまで?
2026年は3回。2月26日〜3月21日(魚座)、6月30日〜7月24日(蟹座)、10月24日〜11月14日(蠍座)です(日本時間・留の時刻は冒頭の表を参照)。次回は2027年2月10日〜3月3日です。
Q. 水星逆行中に契約や大きな買い物をしてしまいました。大丈夫?
逆行中だから必ず失敗する、ということはありません。伝統的な象意は「見落とし・行き違い・やり直し」ですから、対処も同じです——契約内容や注文内容を、あらためて丁寧に読み返してください。とくに留の前後(10月22〜26日、11月12〜15日)に当たっていた場合は、書類の確認をていねいに。
Q. スマホが壊れたのは水星逆行のせい?
水星は通信や機器も管轄しますから、伝統的な読み方では「起こりやすい時期」に含まれます。ただ、逆行の3週間に世界中の機器が壊れるわけではありません。留の前後には大事なデータのバックアップを取っておく——そのくらいの受け止め方が適切です。
Q. 生まれたときの水星が逆行だと運が悪いのですか?
いいえ。ARIでは出生図の水星逆行に悪い意味はないと考えます。詳しくは本文の「生まれたときの水星が逆行だった人へ」をどうぞ。
Q. 水星は本当に逆向きに動いているの?
いいえ。地球から見た見かけの動きです。内側の速い軌道を回る水星が地球を追い越すとき(内合の前後)に、黄道上を逆戻りするように見えます。
まとめ:怖がるより「留」を手帳に
- 水星逆行は、地球より内側を速く回る水星が地球を追い越すときに起こる見かけの逆戻り。年に約3回・各約3週間で、1年の約18%は逆行中
- 占星術では古くから、逆行に戻る・遅れる・やり直すの象意があり、水星なら通信・交通・コミュニケーション・契約の領域でそれが起こると読む
- ARIの読み方:特に注意すべきは「留」の前後/出生図の水星逆行に悪い意味はない/日取り(イレクション)の問題として扱う
- 2026年の次回は10月24日16:13〜11月14日00:54(蠍座21°→5°)。要注意の目安は10月22〜26日と11月12〜15日。2026年最後の水星逆行で、次は2027年2月10日〜3月3日
- 11月下旬は明け方の東の低空で「明けの水星」を探せる好機。逆行のあとに空へ戻ってくる水星を、実際に見てみるのもおすすめです
→ 無料でホロスコープを作る(スターナビゲーター):https://starnavi.arijp.com/
監修:祖父江恵子(ARI占星学総合研究所)



